どこにでもあるチェーン店からこだわりの個人カフェまで、コーヒーが売りのお店は多々あれど、なぜか少ない「紅茶のおいしいお店」。
ペットボトルティーじゃない、ティーバッグを浸した色つきのお湯でもない、ちゃんとおいしい紅茶が飲みたいんだー!と夕日に向かって叫んだことのある人は多いはず(?)
このシリーズでは、筆者が実際に訪れた紅茶のおいしいお店をゆる~くご紹介していきます。おもに神奈川県から東京都内にかけてのエリアが中心になります。
第4回は突然の博多! コーヒーチェーン店としておなじみのタリーズが仕掛ける紅茶のコンセプトショップ、「タリーズコーヒー&TEA 博多駅マイング店」をご紹介します。
2017年にスタートした“紅茶版タリーズ”
タリーズコーヒーといえばご存じ、日本全国どこにでもある代表的なコーヒーチェーン店ですね。

そのタリーズが2017年10月、横浜元町にオープンしたのが「タリーズコーヒー&TEA」です。2019年3月現在、横浜元町、六本木、京都、博多、大阪の計5店舗が存在します。
博多駅マイング店はそのうちの4号店にあたり、2019年2月1日にオープンしました。つい最近ですね!
メニューは、「&TEA」でしか味わえないティーメニュー14種と、紅茶に良く合うティーフードを展開します。紅茶の美味しさがダイレクトに伝わるダージリンなどの産地茶や、フルーツを使ったバリエーションティー、季節のロイヤルミルクティーなど、ティーメニューを豊富にラインナップし、様々なティーの楽しみ方をご提案します。
紹介文でしばしば「紅茶メニューを拡充したコンセプトショップ」と表現されますが、拡充どころではなく完全に紅茶をメインに据えています。紅茶版タリーズといってよいでしょう。
コーヒーチェーン店と同じ感覚で利用できる

外観
外観はこんな感じ。すっきりと洗練されていて好印象です。

入口の物販コーナー
物販コーナーには紅茶、はちみつ、タンブラーなどが並んでいます。

カウンター
カウンターはこんな感じ。コーヒーチェーン店でおなじみのスタイルそのままです。
このように、お店の作りや雰囲気は完全によくあるコーヒーチェーン店そのもの。普通のタリーズとまったく同じ感覚で利用できます。
同時にこれらの様子から、紅茶専門店とはコンセプトが異なるということも察することができます。あくまでも「コーヒーチェーン店が同じ業態で紅茶を前面に押し出した」というスタンスです。
紅茶専門店に求める味よりはワンランク期待を落としつつ、敷居の低さや便利さ、カジュアルな楽しさなどに重点を置くとよさそうです。
ベーシックなストレートティーはティーバッグで
メニューを開くと、ストレートからアレンジまで実に豊富なラインナップ。茶葉そのものの種類はさほど多くありませんが、ホット、アイス、フルーツティー、ロイヤルミルクティー、スムージー、季節のメニューなど、幅広くバリエーション豊かなドリンクが揃っています。

ティースムージーとか珍しいよね。ス○バでいうところのフラペ○ーノみたいな感じかな?

気になるね~。とはいえ初めての利用だから、ここはやっぱりオーソドックスに……

クオリティダージリン(¥500)
メニューの一番上に書かれているクオリティダージリン(¥500)をいただきました。
マグカップにティーバッグが入った状態で出されます。店員さんいわく「2分後をめやすにティーバッグを取り出してください」とのこと。
そこは蓋つきマグでお願いしたい……!と思いつつ、ティーバッグを置くための小皿があるので、こちらを蓋代わりにして蒸らしました。

ティーバッグを引き上げたところ
写真だとやや色が沈んで見えますが、水色はきれいなオレンジレッドです。
ティーバッグはテトラ型で、中にはホールリーフ(フルリーフ)の茶葉が惜しみなく入っています。
マグカップは割と大きめで、紙のカップやプラスチックカップのトールサイズと同じくらいの容量です。

大きなマグでたっぷり飲めるのが嬉しいね~。

やっぱり紅茶はこうでないと!
さて、肝心のお味ですが、これが結構そこそこおいしいです。
ダージリンらしく軽やかな味わいで、えぐみや渋みもありません。ただし、飲み進めていると後々やや苦みが出てきます。マグカップでいれているぶんムラがあるんでしょうか。
できればもう少し香り立ちがほしいところですが(蓋つきマグを導入するだけでもかなり違う気がします、タリーズさん!)、問題なくおいしいちゃんとした紅茶です。
これが街角の気楽なチェーン店で飲めるのは嬉しいですね。ほっこりと温かく、リラックスに最適です。
アレンジメニューは紅茶というより“アレンジドリンク”
アレンジメニューのほうはというと、たとえばこんなものがあります。

ホットのピーチコンフィチュールロイヤルミルクティー(トール¥550)
ピーチコンフィチュールロイヤルミルクティー(トール¥550)は、ロイヤルミルクティーをベースに、ホイップクリームと桃のコンフィチュールをプラスした飲み物。

アイスのSAKURA香るピーチティー(¥520)
SAKURA香るピーチティー(¥520)は、すっきりとした紅茶をベースに、桃と桜の香りのシロップ?を合わせ、ダイス状にカットした桃をトッピングした一品です。
共通して言えるのは、着香がかなり強いということ。華やかで甘くてカジュアルな飲み物です。
紅茶専門店で出てくるフレーバードティーやアレンジティーとは完全に別物です。感覚としては、リプトンのチルドのピーチティー(コンビニのドリンクコーナーに並んでいる紙パックのあれ)に近いです。ジュースっぽい感じというか。
つまり、アレンジティーというよりはアレンジドリンク。紅茶というより“そういう飲み物”として楽しむのがよさそうです。
街歩きで疲れた体を癒したいときや、明るく楽しいおしゃべりのおともにぴったりです。
スイーツではまさかの脇役がおいしい!?
ダージリンに合わせて頼んだスイーツはこちら。

チョコレートアイスが添えられたケーキ
ブラックベリーとレアチーズのパイ、だったかな……? 正確な名前や値段を失念してしまいました。すみません。
パイの中身は、果肉がごろごろ入ったベリーのジャム、チーズクリーム、カスタードクリームでした。お味はぼちぼち。カスタードがかなり甘いです。良くも悪くもコーヒーチェーン店のスイーツという印象でした。

スイーツのアップ
パイにはチョコレートアイスがデフォルトでついてきます。なんだか不思議な取り合わせですね。
スイーツの単価を上げるためかなあなどと下世話なことを思いつつ、一口食べてみると……
んん!? おいしい!!
おまけのはずが思いのほかおいしいというまさかの展開。濃厚なチョコレートアイスの中には、砕いた板チョコのような、パキパキしたチョコレートの塊がふんだんに混ぜこまれています。
パイの添え物にしておくにはもったいない! アイスクリーム盛り合わせとか出してほしいです。薄い固焼きのワッフルなど添えたらばっちりだと思います。
日常生活に自然に溶けこむ“街角紅茶”を楽しもう
全体的な感想として「これはとても嬉しい流れだ、広がってほしい」としみじみ思いました。
どこにでもあるチェーン店からこだわりの個人カフェまで、コーヒーが売りのお店は多々あれど、なぜか少ない「紅茶のおいしいお店」。
当シリーズの冒頭でこのように書いている通り、おいしい紅茶が楽しめるお店はなぜだかとても少ないです。
そしてその数少ないおいしい紅茶が飲めるお店も、やはりコーヒーよりは特別感があるというか、日常的に誰もが利用するレベルにまでは至っていないように思います。お店の問題というより人々の習慣の話ですね。
そんな中、タリーズという人々のライフスタイルを構築しうる力を持った一大企業が、コーヒーと同じようにカジュアルに紅茶を提供するお店に力を入れていることは、紅茶の一ファンとして非常に嬉しく思います。
さらに、これは私見ですが、
- 既存の紅茶のおいしいお店 … 目の覚めるような「本当においしい紅茶」を提供
- タリーズコーヒー&TEA … 日常生活に溶けこむ「カジュアルな紅茶」を提供
という具合に、既存のお店と食い合わないコンセプトなのがまたいいですね。担う役割が違うというか。
そんな“街角紅茶”が今後、コーヒーと同じくらい当たり前に定着したら、人々の日常がいっそう彩り豊かになるんじゃないかなと思います。
こんなときにおすすめ!
紹介文ではよく「感度の高い女性に向けて」といったことが書かれていますが、当然ながら性別はまったく問いません。コーヒーチェーン店と同じように老若男女、誰でも気軽に使えます。
注意点としては以下のようなところが挙げられます。
- 「本格的なおいしい紅茶」ではない
- アレンジティーは紅茶というより「そういう飲み物」
- スイーツにやや当たりはずれがある
特においしい紅茶を飲みなれた人においては、紅茶専門店ではない新しいスタイルのお店として、ゼロベースで楽しむことをおすすめします。
基本情報
- 店名: タリーズコーヒー&TEA 博多駅マイング店
- 所在地: 福岡県福岡市博多区博多駅中央街1-1
- アクセス: 博多駅直結
- 営業時間: 9:00~21:00
- 定休日: マイングに準ずる
- 席数: 50席
(2019年3月21日現在)